359°
第6章 熱意と決意
ジェイソン男がステージに現れると、観客がざわめき始めた。
女性の悲鳴が聞こえてくる。
オレはステージの袖から降りると、キミイさんと順平の元に走った。
「あ、卓也くん、お疲れ~」
キミイさんが笑顔で迎えてくれる。
「あのっ…、あの人って…!?」
オレはすぐに、ステージに立つジェイソン男を指差した。
「ああ、ジェイソンよね。よく出来てるわよねぇ~」
「誰なんですか?!」
急かすように言うと、キミイさんはにっこりと笑った。
「まぁ、見てればわかるよ」
「…っ」
キミイさんはもったいぶって教えてくれない。
そばにいたはずの順平も、いつの間にか最前列の中央に移動していた。
《えーでは、いよいよ最後のバンドになります!R&Mさん、お願いしま~す!》
R&M??
RはアールグレイのR?
じゃあ、Mは…
オレはステージを真っ直ぐ見据えた。