359°
第9章 funky&crazy
「あ、坂本くん!」
ホッとした表情を浮かべるドラムの佐藤。
「あの、これ…」
「すごいっすね!みんな、坂本くんのファンっすよ」
ベースを抱えながら小松が答えた。
「あの~私たち~坂本先輩のファンなんですけど~、ここで練習するって小耳に挟んだんで見学しにきちゃいましたぁ。見ててもいいですかぁ~?」
やたら猫なで声で話す女子生徒が、卓也に向かって話しかける。
「あ、えっと…」
卓也はチラッと佐藤たちと顔を合わした。
「僕と小松は構わないけど、遠藤がね…」
そう言われ遠藤の方を見ると、下を向いて固まっていた。
「あいつ、女の子が苦手なんすよ…」
「えっ…でもギター持つと変わるって…」
「いつもライブは野郎ばっかりでしたから。こんな大勢の女の子に囲まれたこと一度もないっすからね~完全にびびっちゃって、さっきから微動だにしないんすよ…」
(マジかよっ!!)