359°
第9章 funky&crazy
「お、おい!そんな言い方ねぇだろっ…!」
卓也が蒼士の肩を掴む。
「あいつは極度のあがり症なんだ!悩んでんだよっ、アドバイスしてくれたって…」
「じゃあ、やめれば?」
「!!」
「本当に弾きたいやつはそんな言い訳しない」
「…っ…」
何も言い返せなかった。
冷たい言い方だけど、それだけ蒼士の真剣さが伝わってきたからだ。
「…い、いいんだ、坂本くんっ…僕のために…ケンカしてほしくないよ…」
「いや、別に…あいつ、いつもあんな感じだし!」
背中を向けて歩いていく蒼士の姿に舌を出す卓也。
「…い、言い訳か………うん、確かに、嫌なら別にやらなくたっていいんだもんね……」
「…遠藤…」
「よ…よく、考えてみるよ……あ、ありがとう、坂本くん…」
無理やり笑って、遠藤は肩をおとしながら去って行った。