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女剣士のお悩み事情

第2章 追想

今日は国中の人が泣いていた。
人だけではなく、木も花も空も、悲しそうに見えた。


「英雄が死んだんだって」


「惜しい人を亡くしたな」


「あの人がいないと、この国はどうなるんだ?」


「そういえば、あそこの娘さん」


「ああ。独りになっちまったな」


「可哀想に。まだ小さいのに」


「そういえばあの子はどうなるの?」


「詳しくはわからないが、近所の宿屋に引き取られたらしい」


「宿屋って、あの悪ガキのとこかい?それはまぁ・・・」


「文句があんなら、自分とこで養えばどうだい?」


「嫌だよぉ。ただでさえ苦しいのに」


「だよなあ」






「イアラ・ピファラリ」

そう自己紹介した少女は、暗く沈んでいた。
美しい顔が台無しだ。



「エリカ似の美人だな」と親父は呟いた。

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