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女剣士のお悩み事情

第2章 追想

「明日、買い物に付き合ってよ。買いたいものがあるの」

ぎこちない雰囲気のまま、私は切り出した。それほど重要なものではなかったが、どうしても彼と接する機会がほしかった。


「何を買うんだよ」


「タイツよ。生足のままじゃ、そろそろ怪我を受けそうだからね」



リファンが口にも出していたし、理屈にもなるかと思った。


「・・・・ま、いいけど」

少し表情がほころんだ。

私も答えるように笑って、扉から廊下に出た。人はいないし、チャンスだ。

自分の部屋に駆け込んだ。







「さて・・・・どうする?二人で運ぶ?」

ベットに倒れて、吐息をたてるリファン。

ラルドが着せたのか、リファンは服を着ていた。


「それが賢明だと思う。・・・・っと、小瓶小瓶・・・・・あれ?」

「? どうしたの?」


机の前に立つラルドに近づき、目線の先を見た。



「小瓶が・・・・ない?」

「おかしい・・ここに置いたはずなのに」

額に汗がにじんでいる。

話を聞く限り、大変なものだということがわかった。





「誰かが持ち去った・・・・のか・・・?」







豹変したリファン。

粉を取り込んだラルド。

消えた小瓶。



この奇妙な夜が、全ての序章だったことを、まだ自覚できていなかった。

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