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女剣士のお悩み事情

第3章 死んだ王子

「よっ、とぉりゃっ!」

「うわ、ちょっ!イアラ手加減しろって」

「本気でこいって言ったじゃない!はァ!」


「うわぁぁああ!!!」


ある昼下がり。
穏やかな気分とは裏腹に、庭では男の絶叫が響いた。

宿の窓から、仲間がこっちを見て青ざめ、苦笑していた。

私がそちらを見てにっこり微笑むと、窓に映っていた顔はますますひきっていく。



「くそ・・・・・運が悪かった・・・」

武器を落としてがくりと倒れこむ男に手を伸ばした。

「木刀なんだから大丈夫よ・・・・ほら、明日からまた野宿になりそうなんだから一眠りしてきたら?」

すると男は手をとり、「そうする」と疲労困憊といった表情で立ち上がった。



風に彼の金髪が揺れ、目を奪われる。いつみても綺麗な髪だ。



ルビー・トパールシェド。

本名、ルビー・シェメスト・アパールーシュ。

名前がとにかく長い。それもそのはずだ。




彼は私の故郷の国の王子だから。


正確には、『王子だった』から。

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