テキストサイズ

女剣士のお悩み事情

第3章 死んだ王子

懐から一つの指輪を取り出した。傍にいた女剣士、イアラは興味があるように見ている。


「護神石。俺が王子だったときに、召し使いがくれたんだ。『女神』に渡してくれ、だと。散々遅れたけどな」

青い石が、太陽の光を反射している。

「遅れたけどいいんじゃない?今渡せたんだから」

そう言って笑うイアラ。

違う。この石をメイに早く渡していれば、この村は滅ばなくて済んだんだ。

彼女は、不思議な力を持っていたから。


<・・・ルビー・・・私・・・・>

<も・・すぐ・・・・人柱に・・・>

<・・・も、いいの!私、みんなを守るのよ!石なんかなくても、魔王なんかには負けないからっ>

<だからね、ルビー。私を忘れないでね。・・・この石、あげる。ルビーの指輪と、対になるの>

<気づいてたよ?それ、大人が欲しがってる護神石でしょ。いいの。どーせ、未来は変わらないから>





イアラを見ているとメイのことを思い出す。髪の色は違うけど、彼女とよく似ていた。



『未来は変わらない』と言った君。


『みんなを守る』と言った君。


君は、自分の未来を視ていたんだろう。


それでも、運命を変えようとしていた。



そんな君が好きだった。






守れなくて、ごめん。



ごめんな。メイ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ