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メガネは外さないで

第2章 4月下旬

謎の教師永山大輔が赴任してきて1か月が経とうとしている。


最初こそ、みんな佳菜子のような反応だったが、時が経つにつれて慣れてきたようで、白衣についているコーヒーの染みもそれほど気にならなくなっていた。


そんなある日。




「えっ!? また別れた!?」

「別れた事より新しい彼氏が出来た事をお祝いしてよね」

「え、あ、うん。ってかこの間私も会った人だよね!? 別れた人って… 」

「ん~、なんかあいつ変だったんだよね~」



三久のローテーションは早い。

自分からは告白はしないが、とりあえず告白されたら付き合ってみるといった性格だった。

『下手な鉄砲~』というわけではないが、今のところ『当たり』は引けてはいなかった。





「変って何が?」

「なんかストーカー体質っていうかさ~。」

「えっ!? その人追いかけてくるんじゃない!?」

「大丈夫大丈夫。向こうも別れたかったみたいだから♪」

「えっ!? どういうこと?」

「なんかさ、好きな人が出来たって。
あたしもちょうど別れたかったからラッキー♪みたいな♪」

「あ、そう。それはよかった…」

「と、いうわけで今日は新しい彼氏と帰るから♪」

「うん。わかったよ。」




展開が早すぎてついていけない…



しかしいつものことなので、円満に別れられてよかったとも感じた。

一度、揉めに揉めて大変なことがあった。

それ以来、割りと1人の人と長く付き合おうとする努力は見られるが、今回は以前にもまして短かった。




まあ、相手に好きな人が出来たのなら仕方ないか…





多分、佳菜子には『恋』がどんなものかわからないように、三久もまた『恋』がわからないのであろう。




「…さん」



お互い、本当に好きな人が早く出来たらいいのにね。





「…さん」




私に好きな人なんて出来るのかな…





「山本さん!!!!」

「ギャー!!!!」





驚いて振り返ると、そこには永山の姿があった。







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