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メガネは外さないで

第2章 4月下旬

「あ、永山先生…」

「すみません… 何回か呼んだのですが聞こえていなかったみたいで…」

「こちらこそごめんなさい。ちょっと考え事していて…」

「そうでしたか。」



佳菜子は、永山のあんなに大きな声を聞いたのは初めてだった。

普段は、ボソボソと口を閉じ、隠った声で話すので気がつかなかったが、割りと佳菜子好みの声だった。




「先生、普段から大きな声で話したらいいのに。」


「えっ?」




佳菜子がそれ以上何も言わなかったので、永山はとても不思議そうな顔をしていたことが、分厚い眼鏡をしてていてもわかった。



「先生、何か用事があったんじゃないですか?」


「あ、あ、あの、今日日直ですよね?
放課後、数学準備室に資料を作りに来てもらえますか?」


「はい。わかりました。」





みっちゃんもいないしちょうどいいや。

暇潰しになりそう。










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