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……どうしてこうなった?

第14章 もうひとつの恋の始まり

「よかったら喫茶店でも行こうか? 歩き疲れたでしょ?」

「あ、はい。行きましょう!」

嬉しそうに友美は同意した。


ふたりは少し離れた静かで趣のある喫茶店に入る。

いかにも慣れた風に入った鎗倉だが、この店にやってくるのは親に連れてこられた小学生の頃以来だった。


安さが売りの喫茶店とは違い、店内にはコーヒー豆を煎る香ばしい匂いが溢れ、静かにジャズが流れていた。


「すごく雰囲気のいい店ですね。鎗倉先輩が好きそうな、大人っぽい店ですねー」

「そ、そう?」

瀟洒な店内に臆することなくリラックスしている友美と対照的に、連れてきた本人の鎗倉は緊張していた。


「本日の珈琲」に書かれた聞き慣れない品種のコーヒーを頼むと酸味が強めのコーヒーが出てきた。

「うわぁ、美味しい……家で飲むようなものとは一味違いますねぇ」

「本当だね」

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