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……どうしてこうなった?

第26章 自殺

どれくらいベンチでそうしていたのか、橘にはわからない。

十分だったようにも思えるし、一時間といわれればそれくらいだったかもしれないと思える。


「どうしたの?」

声が聞こえた。

しかしそれが自分に向けられて発せられた言葉だと気付くまでには少し時間がかかった。

「飲む?」

ニュッと目の前にオレンジ味で無果汁の炭酸飲料の缶が差し出され、ようやく自分に声をかけられてると気付いた。

「いらない」

そう言いながら橘は顔をあげた。

「自殺しそうな顔して、どうしたの?」

橘に缶ジュースを差し出してきた女性は小首をかしげる。

高校生くらいの、ぼんやりとした顔立ちの女の子だった。

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