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……どうしてこうなった?

第26章 自殺

「そろそろ、出ようか?」

リョウが橘の胸のなかでポツリと呟いた。

「ああ……そうだな」

橘は時計を見ながら返事をした。

ホテルに入って二時間近くが過ぎていた。


結局二人は抱き締めあったまま一時間以上もそうしていた。

服も脱がず、キスさえせず、ただ互いの体温を感じて、心拍音を聞いて、辛くなかった時代の思い出話を少しだけした。


部屋を出る間際、リョウは少し寂しげに呟いた。

「私が穢れてるからセックスしてくれなかったの?」

「いいや……俺に勇気がなかったからだよ」

橘はリョウの目を見つめて返答した。

「意気地無し」

笑いながらリョウはチュッと橘の頬にキスをした。

「続きは、また今度、ね?」

「わかった……それまで死ぬなよ」

橘は微笑みながら答えた。

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