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……どうしてこうなった?

第32章 陸奥家を継ぐ者

「お帰りなさいませ、佳奈美お嬢様」

玄関を開けると恭しく執事の茅野が頭を下げる。

陸奥は茅野の方に返事もしなければ、一瞥もくれず自分の部屋へと向かう。

「お嬢様。先程からご学友の副島様がお待ちです」

歩を緩めない陸奥の後ろを茅野がついていき、そう伝えた。

「添島君が? 呼んでないわ」

「副島様から用事があってこられたのでは?」

「会いたくない。帰ってもらって」

「かしこまりました」

吐き捨てるように命じて陸奥は自室へと入っていった。

部屋に入る陸奥に頭を下げてから茅野は応接室で待たせていた副島のもとへと向かう。

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