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……どうしてこうなった?

第36章 橘たちの戦い

橘はゆっくりと振り返り、憎悪に満ちた眼差しで一郎を睨みつける。

その殺気立った目つきに一郎は思わず怯む。

「警察? 行ってみろよ。捕まるのはお前だぞ?」

「っっ……」

一郎は狂ったように怒っていたが、本当に気が狂っているわけではない。

現状で警察に行けば自分が捕まることくらいわかっていた。

「いいか、警察にいかないのはな……お前のためじゃない。涼子のためなんだよ。おっさん、勘違いするなよ。お前に対する優しさじゃねぇんだよ……これ以上、涼子を傷つけねぇためなんだ」

一郎は思わずゾクッと背筋を凍らせる。
そしてその恐怖心は間違っていなかった。

なぜならこの時、橘は本当に殺意を持って一郎を睨んでいたから。

目の前の男を殺さないように、必死に抑えて喋っていた。

恐怖に陥った一郎は黙って二人を見過ごすしか、手立てがなかった。

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