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……どうしてこうなった?

第37章 放たれた狂獣

「馬鹿、泣くなよ」

駿二は優花の頭を優しく撫でる。

「ごめん……」

「仕方ねーことじゃん……泣くなって……」

優花の泣き顔を見たくない駿二は優花の顔をぎゅっと自分の胸に押し付ける。

「案外楽しかったぜ、俺は。優花に振り回されて、悩まされて、笑わされて。俺は楽しかった」

どうにもならないこともある。

その言葉を何回も駿二は胸のなかで呟いた。

「ありがとうな、優花」

うううっという優花の泣き声が駿二の心を締め付ける。

フッてもフラれても恋愛は傷つく。

合理的に考えれば恋愛なんてするもんじゃない。

けど誰かを好きになってしまう。

だから面白いのかな、なんてそんなことを冷静に駿二は考えながら優花が泣き止むまで抱き寄せていた。

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