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……どうしてこうなった?

第37章 放たれた狂獣

「陸奥家ではまずおこづかいというものはありません。自分で稼がなくてはお金は使えないんです。はじめは皿洗いくらいですがそのうち家業の手伝いや新しい商売の立案などもさせられます」

茅野はとつとつとその内容と佳奈美の努力を優花に語った。

確かにそれは優花ら普通の高校生では行わない類いのもので、それに対する努力と言うのも立派だった。

「まあ、それらの成績を見ても佳奈美お嬢様は才気があります。陸奥家の跡を継ぐものとして恥ずかしくない方でしょう」

茅野はどこか自分の功績であるかのように誇らしげに佳奈美の才能を話した。

茅野が優花に見せるはじめての能面のような感情のない顔ではなく、生き生きとした顔だった。

「そうであったとしても私は陸奥さんを許せませんし、負けません」

憮然として優花は言い放った。

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