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……どうしてこうなった?

第37章 放たれた狂獣

ようは親の顔色を伺ったり、親に出来る子だと思われたい一心でいい子を演じていた自分が、悪いのだ。

佳奈美はうなだれた。

誰が悪いとか、生まれた家が悪いとか、そんなのは言い訳だ。

何にも出来ない自分を甘やかし、可愛がるだけの言い訳だ。

「ううっ……」

陸奥は嗚咽を漏らして泣いた。

自分は負けたのだ。

葉月優花に、芹沢高志に、何より自分自身に、負けたのだ。

負けた。
負けた。
負けた。
はじめて負けた。

生まれてはじめて、負けた。

悔しくて涙が止まらなかった。

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