テキストサイズ

……どうしてこうなった?

第40章 陸奥佳奈美の決意

陸奥家の人間は生まれながらに陸奥家の人間としては認められない。

生きて、功績をあげてはじめて陸奥家の人間として認められる。

つまり今の佳奈美は陸奥家の人間として不合格となった。

もはや佳奈美は陸奥家の人間ではない。

実の娘であろうが、それは曲げようのない事実として突き付けられた。

こうなることくらい分かりきっていた。

だから佳奈美には涙もない。


それに佳奈美はもう、泣くことは出来ない。


--これからは母としてこの子を守っていかなければならないのだから。

お腹をさすってクスッと小さく微笑んだ。

それは諦めや哀しみの笑いではなく、愛しさに溢れる笑みだった。

そして力強い、笑みだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ