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……どうしてこうなった?

第40章 陸奥佳奈美の決意

佳奈美は自室に戻り、家を出ていく準備を整える。

持っていくものはもちろん自分で稼いだお金で手に入れたものだけだ。

カードや貴金属などはもちろん持っていかない。

部屋を片付けているとここで過ごした想い出が甦り、少し胸が痛んだ。

それほど両親の愛情に恵まれて育ったとは思っていないが、使用人たちは優しくしてくれた。

しかしこうして陸奥家の人間として認められずに立ち去っていく片付けをしていると、使用人たちの優しさも所詮金で雇われた仕事の一貫としての優しさだったのではないだろうかという寒々しい気持ちにさせられる。

産まれてくる自分の子供にはそんな思いをさせずにすむかと思うことだけが慰めになった。


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