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……どうしてこうなった?

第8章 初デート

「すごいよな、この夜景ってさ」

芹沢もゆっくりとそのあとを追い、優花の隣に立つ。

「これ全部、誰かの営みのための灯りなんだぜ。
あの灯りは俺たちに夜景を楽しませるために点灯してるんじゃなくて、誰かが暮らすためについているんだ。
不思議だよな。
いろんな人が、いろんな幸せや悩みを抱えてあの光の下で暮らしてるんだって考えるとさ」

「……なんですか、急に格好つけて。どうせこれからどうやって私にエッチなことしようとか考えてるんでしょ?」

優花はからかうようにわざと冷ややかな横目で芹沢を見る。

「バレちゃったか」

芹沢もふざけるように笑う。

「でもまぁ、こんな素敵な景色を見てるとロマンチックな気持ちにもなりますよね」

「キスくらいしちゃう?」

「相手が先輩じゃなかったらもっとロマンチックな気分になったと思います」

「あっそ……」

ふたりは笑い声を噛み殺して夜景を見下ろしていた。

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