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……どうしてこうなった?

第9章 優花の入部

ただ純粋に、猫の子供が虫をじゃれながら殺すように、純粋に相手をいたぶり殺すのを楽しんでいるかのような気配を感じ取る。


「それに、あなたも自由ですよ? あなたが橘君に恋をするのも自由。誰にも止める権利なんてないわ」

「それを知ってて、あなたは彰人を」

「だけど自分が好きな人が他の人を好きだからと言って、その他の人に自分の好きな人と関わるな、なんていう権利はないの」

「それはっ……」


言いかけて優花は口を閉ざす。


現在の状況だけみれば陸奥の言い分は正しいものであり、反論の余地もないように感じたからだ。


「……負けです」

「え? なに?」

「私の負けです、陸奥先輩……これ以上彰人を傷つけるような真似はやめてください……
私の負けです……」

優花は肩の力を落とし、頭を下げた。

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