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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

俺は、自分でも驚く程の低い声で淡々と瑠花に言う。

「…へ?汐里…さん?」

初めて見る俺の様子に、
戸惑いがちに言葉を紡ぐ瑠花。

「…これは、事故だ。」

「……」

少し間を置いた後、ゆっくりと…
それでいてしっかりと瑠花にそう告げた。

瑠花は何も言わずに俺の言葉の続きを待って居るようだった。

「瑠花は…俺を助けようとしてくれたんだろ?…ありがとな。」

フッ…と少し頬を緩めて瑠花を見る。

「怪我とか…大丈夫か?」

仮にも女の子だからなんて思って、
心配の言葉を口にした。

「あ……いえ…そんな、全然…」

俯きながら、
顔の前で手を降る瑠花の返答に、気付かれ無い程度で安堵する。

「そっか。なら、良かった。
……さっきも言った様に、これは事故だ。」

「はい…」

「誰も悪く無い。

…まぁ、強いて言うなら俺の不注意だから。悪いのは俺だろう。」

そんな事を口にしたら、
何だか気恥ずかしくなってポリポリとコメカミを掻いて目線をずらした。

「そんな事ないです!
…汐里さんこそっ、怪我とか…大丈夫ですか?」

「え?あ、あ…うん」

凄い勢いで言う瑠花に、多少押され気味で返事をした。

「良かった…」

俺の返事に、心からホッと胸を撫で下ろす瑠花。

…良い子、なんだよな。

恋のライバルとか…なんか恥ずかしいけど。

そんな奴の心配なんてしてくれるし……

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