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キレーな顔した狼さん。

第6章 4匹目

「聞いてねぇよっ、お金とか大丈夫なのか?」

心配の言葉を口にする俺に瑠樹は笑顔で答えた

「大丈夫だよ。仕送りは貰ってっし、何よりうち金持ちってやつだから金には困んねんだ」

へぇ~、瑠樹家って金持ちなんだ…

また新たに瑠樹の事を知って嬉しく思っていると

「そんな事より、はいっ。あ~んっ」

なんて言いながら俺の口にお粥を乗っけたスプーンを近づけてくる瑠樹

「ちょっ、おまっ…大丈夫だって!
自分で食えっから///」

と、恥ずかしくなり抗議する俺

「何いってんの?さっきはあんなに物欲しそうな顔で俺の事見てたくせに…」

「物欲しそうって…そんな顔してねぇよ//」

「いいから…ほらっ。食べたいんでしょ?折角、汐里のタメに俺が作った手料理!!…まあ、大したもんでもねーけどさ…」

俯きながら何処か悲しげに言う瑠樹に思わず声を張り上げて叫んでしまった

「大したもんじゃねーかっ!
瑠樹が俺に作ったものは、何でも大したもんなんだよ!悪かったな…いいから早く食わせろ!はいっ。あーんっ」

思いっきり口を開けてスプーンのうえのお粥を口に入れる

「…汐里、おいし?」

口に入れたお粥は病人の俺にも食べやすい味付けで文句無しに旨かった

「んっ、旨い…」

思わずニヤけながら質問に答る

「そっか、良かったぁ…もっと食べて?…あーん」

はむっ
まぢで旨いな…食欲無くても余裕で全部食えそ…

「汐里?スプーンくわえたままこっち向いて?」

「ふ?」
そー言う瑠樹の方をなんの躊躇いもなく見た…そう、見てしまった

カシャっ

ん!?

見た途端いつかを思わせるケータイのシャッター音が俺の耳に届く

「何とってんだよ!」

急いでスプーンから口を外し瑠樹に叫ぶと、さっきまで落ち込んでいたとは到底思えない余裕の笑顔がそこにあった

「何って、汐里が俺のを食べてる写真…俺の手から食べてる汐里があんまりにも可愛くて…」

俺のって…卑猥な言い方すんなっ

「あっ…う、あっ」

何も言い返す事ができず口をパクパクさせていると

「何、口あけて…ああ、おかわり?ごめんごめん、はいっ。」

なんてふざけた事を言い出した瑠樹

「お前…まさかアレわざとか!?」

「ん?アレって?」

「とぼけんじゃねーよ!アノ悲しそーに俯きながら言ってた事とか!アレっ、演技か!?」

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