あいどる君に恋煩い
第7章 訪問客
「おいっ、逃げるぞ」
目の前の光景にびっくりして固まってた私にその人はそう言って私の手首を掴みいきなり走り出した。
「ちきしょーっっ覚えてろよっっっ」
男の叫び声が聞こえた時にはもう男の姿は見えなかった。
「はぁっ…もう流石に追って来ないな… いきなり走らせてごめん。大丈夫?」
少し離れた公園に入り、そう言って私の頭をぽんぽんして来た。
「はぁっはぁっ…龍……くん…… ありがと」
私を助けてくれたのは小野龍だった。
「…うっ…うっ…怖かった… ひっく…」
恐怖から解放されて安心したのか、自分でもよくわからないけど大泣きしてしまった。
「お、おい、泣くな。俺が泣かしたみたいになる。」
「だってぇ……だってぇ……」
泣き止まない私を龍くんは優しくそっと抱きしめて小さい子をあやすみたいに頭をぽんぽんし続けた。