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あなたが消えない

第18章 貫く、この気持ち

春が過ぎ、夏が訪れ、秋がやってくる。

木々たちが色付きはじめて、黄色、赤、橙と染まる。

肌寒いと、心まで何となく暖かさを求めてしまう。

スーパーの帰り道に自転車で、交差点で信号待ちをしていると、シルバーの軽ワゴン車が対面側で信号待ちをしていた。

運転席には、薄緑の作業服姿の男。

まさか、翔!?

何となく目付きの悪い、ふてくされた表情に一瞬そう思った。

だから、もう一度よく目を凝らして見ると、車はすぐに右折で曲がって行ってしまった。

確認する間もなく、翔本人だと分からないまま、その一瞬は終わってしまった。

翔が姿を消して、半年も経った今更、翔に似た人間に遭遇するだなんて。

あまりにも、悲し過ぎる。

こんなに時が空いてしまっていて、これのどこが運命で定められた人なのだろうか。

永遠を誓い合った、相手なのだろうか。

だからと言って、翔への想いは消える訳でもなく、その日以来、私はその時間に合わせて、その交差点でまた、翔に似た人物が信号待ちをしないかと、不自然に立ち止まり、数分間見つめ続けてから、帰るようになった。

偶然だったみたい。

いや、人違いだったみたい。

あれから、一度もその車と運転席のその人物を見る事はなかった。






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