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あなたが消えない

第18章 貫く、この気持ち

仕事をしていると、毎日があっという間で。

仕事が終わり、仕事仲間と喫茶店であれこれ仕事の愚痴を溢したり、家庭の話、はたまた男の話で盛り上がり、夕方過ぎに帰宅して夕飯を作る。

和男は相変わらず、帰りの時間が不規則だから、私も相変わらず一人で食べてシャワーを浴び、勝手に眠りにつく。

和男に今は何も、求めてないから。

この今の生活のリズムで、私は平気。

疲れているから仕事の事、翔の事以外は、はっきり言って考えないようにしている。

そして、いつの間にか季節は冬になっていて。

12月になると更に忙しい1日が加速する。

暮れのスーパーは、本気でごった返すから、人の流れで余計に疲れる。

だから、休みの日は極力身体を休めるために家から出ない。

しかし和男との同じ空間にいるのも、面倒だから、休みの日はモーニングに一人で出掛けて、1時間程ゆっくり一人の時間を過ごす日々を送っていた。

無駄に歩いては、翔の会社の車に似た車が通ると、運転席を確認したり。

偶然、会えたらいいのに…って。

そう強く思って…つらい気持ちを、どこかで会える期待に気持ちを切り替える。

いつも、どんな時でも、そう思っていた。

時々、子連れの若い父親を見ると胸が張り裂けそうになる。

翔だったら、どうしよう…って。

そんな姿、翔には似合わないよ。

どうして、お互い結婚する前に出逢えなかったのだろうと悲しくなる。

翔に会いたい。

でも、奥さんや子どもと一緒の所だけは、絶対に見たくないし、絶対に会いたくない。

翔、たった一人の時に。

翔に会いたい…。



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