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ライフ オブ ザ マウンテン

第6章 7

もう眠気は大分来ているから容易に眠ることができる、やっと今までの人生を清算することができるんだ、それがせめてもの僕の救いだ。しかし、この時ふとマーサの事が脳裏によぎった。唯一、自分を心配してくれた優しいマーサ、面会にきてくれ、いつも励まし元気づけてくれた。僕が死んだらマーサはどう思うのだろうか、彼女は立派に思ってくれるのか、きっとそうに違いない、だとしたらこんな中途半端な場所で死ぬわけにはいかない。僕は死に損ないでどうしようもない人間だったけど、今なら…そうか、生きるとは、存在理由とは人それぞれだということか、誰かの為に、自分の為に生き、存在とは地球の存在があるように存在するべきものとして存在しているんだ、人間も小動物も。誰かに決められることではなく自分が決める、そういうことなのか。僕は頂上に向けて歩きだした。手足は既に限界に達している、でも命はまだ消えていない、限りなく薄い命の灯火だけど、これはマーサの為に、そう、僕は誰かの為に捧げるべくして存在してるんだ。だからどんな事でも頑張れる。生きる事の価値を見出だせたのだから…

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