テキストサイズ

歪みの世界

第1章 プロローグ

ふと、ドアが勢い良く開き、俺に向かって誰かが突進。いや、強く抱き着いてきた。
「マイハニー、君に会うために僕は……」
強く抱き締めていた腕の力が緩む。それにしても、マイハニーだなんて寒気がする。
「な、な、な、何で男が!?」
口をパクパクさせながら、俺に指を差す。
「済みませんー。俺の、ミスなんです―」
「エヴァン!!」
「ポプリ君!?」
抱き着いてきた野郎と声が重なった。
「トーマ君、気分はどうですか―?頭痛や吐き気、身体の節々が痛かったりしないですか―?」
年下に君呼ばわりは、微妙な感じだがあえて言わないでおいた。
身体?
何処も悪くはない。寧ろ、良好だ。
「大丈夫だよ。それより、此処どこ?」
「後日話しますから、今は眠っていて下さいね―」
そう言われた途端、眼が重たくなってきた。
きっと、此れは夢だ。
目が覚めたら、夕飯を作ろう。智貴喜んでくれるかな。

「…智貴」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ