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先生。

第4章 ○青色の出会い。


「お疲れだね。」

「伊藤先生…」



思いがけず降り注いだ声に、驚きつつ、目だけで反応する私。





そんないかにもだるそうな、ぶしつけな反応にもあきれることなく
落ち着いた物腰で椅子に座るこの男性教諭は

わたしと同じ5年生チームの一人、伊藤先生。






無表情で、背も高く、色白な風体。
そして全く笑わないという、なんとも特徴的な性質を兼ね備えた、この先生。

子どもからは「ロボット」と呼ばれているが、実はとても優しく、直属の後輩であるわたしを本当にかわいがってくれる。






「そんな姿勢をとってると、プリントが混ざって仕事に支障がでるよ。」

冷静に今後の私の仕事の行方を報告してくださる伊藤先生は、カチカチの理系人間。





「分かってますけど…。この一週間のことを思うと、気が病んじゃうんです。」

今週の金曜日は、県の研究授業がある。




研究授業とは、一般企業でいうプレゼンみたいなもので、自分のクラスの能力を高めるための研究を提案・実践し
その成果を授業での姿をもって実証する。というもの。





いろいろな先生方に授業をみていただき、その研究テーマや今後の改善策について協議をするのだが


「あの雰囲気、本当に苦手なんですもん。」




スーツ姿のおじさん・おばさんに、まるで重箱の隅をつつくような質問をされる
あの空間が私は心底苦手だった。

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