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君がいいんだ

第8章 俺だけに、君だけに

「どこにも行かないで…」

信じらんねぇ…
俺…こんなこと言うんだ…

「どこにも行かないよ…?」
「俺のそばにいて…」
「うん…そばにいるよ…」

買ってきた買い物袋を持ったまま
彼女は俺の背中をポンポンとさする

「翔くん…大好き…よ」
「俺も…紗英が大好き…」

自分でも知らなかった自分がいる
彼女に会って
彼女を知って
彼女と愛し合って
初めて知った

柔らかい笑顔と声で
俺の弱いところも何もかもを包んでくれる

君と出会えてよかった…

この小さな部屋が
俺たちのスタートラインなら
ちょっとずつ前に進もうか

進んだ先に目には見えないゴールがあって
そのゴールテープに向かって
一緒に進むとしたなら
もちろんそれは…

君がいいんだ…


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