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適当詩

第3章 3

「底冷え」

布団の下から

じわりじわりと

冷気が背中に伝わってくる

目を閉じれば

耳の奥に

じりじりと

静けさが伝わってくる


そして

そんな

真っ暗闇から

さあ来いよ

と囁く奴がいる

こっちだぜ

と唆す奴がいる


そいつが俺にくれるのは

甘美な憎悪

食べても食べても

なくならない

愛するものを

切り刻み

握り潰して

出来上がる

噛んでも噛んでも

溢れ出る

飲み込んで

吐き出して

反芻して

繰り返す

中毒のように

やめられない




気付けば

俺の心は

ズタズタに引き裂かれている

どうしたらよいかわからず

途方に暮れる

頭だけは覚醒し

孤独を再確認する


そうして

身震いする

この震えが

底冷えによるものなら

いくらか考えようが

あるというのに



おわり。

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