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適当詩

第3章 3

「夜明け」

時折走る車の音が

町に響く

バイクも走っている

新聞配達だろうか

境界線

深夜から朝の

いったい誰が

引くのだろう

昨日から今日に

今日から明日に

切り替わるとき

それはいつ?

午前0時

そう

そうなってる

仕方がないから

決まってる

だけどね

本当の

本当は

わかっているでしょう

だって

午前0時を過ぎても

夜は続いているもの

そうして

しばらくして

星が瞬き疲れたら

はっと

息を飲むような

そんな一瞬

全ての音が止む

そんな一瞬に気付くでしょう

上手な指揮者がタクトを振るように

そして止めるように

一瞬、音は止むでしょう

まるで時間も止まったように

午前3時36分

そうして再びタクトは振られ音が溢れ出す

空の色も踊り出す

水彩を使ったように

深い藍

白んで

黄味を帯びて

じわり広がって

金色に

水面はそれを映して

輝いて

音は更にテンポを増して

遠くの峰みねに

真っ白な線が引かれる

そうして

現れる

今日の太陽

凍えた大地の霜を溶かす朝日

羽化した虫の羽を乾かす朝日

あなたに今日をくれる朝日

今日の太陽


夜明けだ

昨日は終わり

今日が来た




おわり。

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