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適当詩

第1章 1

「背中」

背中が痛い
脊髄の隙間にのみを打ち込んでいるかのように
響く音

カーンカーン

とこだまして

鼓膜に届く振動波

あの女が

手足が痺れる、と

震える指先で

俺の手首を掴むのは

それは

老いを

それとも

時間という概念を

いやはやしかし

宇宙という受精卵を

細胞分裂を繰り返す

大宇宙を

そして、残り回数の少なくなった俺のテロメアを

想ってのことだろうか

貴女の宇宙は

すでに

ここに生まれでて

成熟し

そして、また

老い始めているというのに

その想いは

いつの世も空回りして

手に終えなくなったときに

自らに戻ってくるのだ

盛者必衰

その鐘は

今や

カーンカーン



俺の背中で響いているのだ


おわり。

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