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適当詩

第1章 1

「靴跡」

じゃっくらしょ

じゃっくらしょ

と音を立て

泥沼を歩き続けば

先に見ゆるは

枯れ木の梢

吊らされた身体の主は

とうに昇りて

残骸のみが

鳥獣虫けらの糧となりけん
じゃっくらしょ

じゃっくらしょ

と霧の沼

じゃっくらしょ

じゃっくらしょ

と背負いて歩く

霧の沼

残骸を待ち

残骸を乞い

残骸にすがる

面影に涙

それは残された悲しみか

残された怨みか

逝った者への憐れみか

逝った者への妬みか

じゃっくらしょ

じゃっくらしょ

背にかかる重さに

足をとる泥沼に

むせかえる臭いに

混濁に

清浄に

ただ、この狭間で

俺は

生きているのだ



泥沼に残った

俺の足跡は

あれほど

足をとったというのに

あれほど

重い一歩であったのに

ややもすれば

元のとおり

消えてしまうのだ


ああ

今も

澄ませば聞こえる

じゃっくらしょ

じゃっくらしょ

と。



おわり。

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