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適当詩

第8章 8

「じゅー」

下町の高架下の

ホルモンやのねえちゃんの焼いた串の

薄いビールの

枝豆の

二度付け禁止の

昭和な演歌のカラオケの

煙草と酒の臭いのニッカポッカの

油のこびりついたカウンターの

汗と香水の

人生の楽しみと哀しみの

薄情な人情の

壊れた色々の

崩れたグタグダの

混ざりあったぐねぐねの

ぐらんぐらんの頭の

千鳥足の

どぶの濁りと酸っぱさの

はみ出たゴミ箱の

途切れたネオンの店名の

お前の肩の

何にも起こらない夜の

そんな夜の

明日という言葉の

希望と諦めの

徒労と達成の

体当りと負け惜しみの

野良犬と迷い猫の

陰りゆく月の

この国の一人の

今を生きる一人の

わたしから

あなたへ

お疲れ様



終わり。

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