
彼・彼女の言い分
第5章 先生の理由
エレベーターが到着…
その階は…
俺が教えている生徒…
水上 千花 の家…
はい、この階…全部…彼女の自宅です…
エレベーターを出ると、フカフカな絨毯が足元を優しく包む…
雲…って歩いたらこんな感じ…か?
標札と…ちょっとした門が見え…
そこからインターホン?を押して到着を知らせる…
[はーい…安藤先生ですね…今開けます。]
お手伝いさんの声がして…
沢山ある入口の一つが開く…
入るまで…長い…
「お邪魔します。」
と中に入ってからも…長い…から…
何も考えず勉強部屋に向かう…
ガチャ
『こんにちは…安藤先生』
「こんにちは、千花さん」
軽く挨拶をして席につく。
[安藤先生はコーヒーでよろしいですか?]
「あ…いつもすみません。よろしくお願いします。」
お手伝いさんはそっとドアを閉めた。
その後は、家庭教師の仕事に取り掛かる。
コーヒーには、ちょっとした菓子も付き…
あのファミレスよか…よっぽど美味い。
「よしっと休憩…っと。結構進んだね。」
『そうですね…ぁ…先生…コーヒーのお代わり、頼みますね』
部屋の内線でコーヒーを頼んでくれた…
よく出来たお子さん!
「ありがとう。このコーヒー美味いよね。豆が違うのかな?」
『ありがとうございます。このコーヒーは兄のカフェで出しているもので…兄自ら焙煎してるんですよ。わがままを言って別けてもらってました。私は兄のコーヒーしか飲めないので…』
「どーして?飲めないの?」
『ん〜…香りとか…味とか…他のだと…飲めなくて…
それでも、コーヒー好きの兄が私に飲ませたくて…豆や焙煎など研究して作ってくれたのか…このコーヒーで…』
あ〜ぁ、お兄さん…いたね。
歳の離れたお兄さん…だっけ?
〇〇通りでカフェを経営してたな…
「今度そこのカフェに行ってみるよ。美味いコーヒー飲みたいしね。」
『ご一緒しますよ。』
「よろしく、敷居が高かったら怖いしな。」
フフフと笑う彼女は相変わらず美形だ…
