テキストサイズ

タイバニ小説置き場

第2章 離さない、離れない(ルナティック×虎徹)

一番言われたくない言葉だった。

お姫様抱っこされたヒーローなんて大の男としては侮辱でしかない。

ましてはこのNextはやたらと神経を逆撫でする声で話し掛ける。

「世間の一部では貴様の事を兎の王子様に抱かれた虎姫様と呼んでるそうだな、なんとも滑稽な。」
「だからそれは偶々俺が…。」
「奴を愛してるのか?バーナビー・ブルックスJr.を」

心臓がずくりと高鳴った。

たしかに愛してると言われたしまだキスしかしていない。

なのに何故この蒼焔の断罪者はそんな事を何故知っているのか?

「まあいい、今此処で宣言しておこう。」

ルナティックは虎徹の前に跪き彼の手を握る。

「は?」

「私はお前を愛するとタナトスとお前に誓おう鏑木・T・虎徹。」

あまりの唐突な告白に頭が真っ白になった。

「おい、お前正気か?どこかに頭ぶつけたのか?」
「否、私は正気だワイルドタイガー、そしてもう一つの誓いそれは貴様をあの男から奪う。」
「そ、それは…。」

全てが予想できないこのNextは虎徹の身体を抱き締めていた。

「愛してる虎徹。」
「ルナティック…。」
「ずっとお前だけを見ていた、お前の身上なんて関係ないただお前だけが私は欲しい。」

混乱した頭の中でふと感じたルナティックの孤独。
誰かに似ている、それは思い出せないが。

「それは…。」

否定の言葉が思い付かないルナティックに抱きしめられたまま振り払う事も出来ない。

「俺はバーナビーにも愛してると言われた、お前の気持ちには応えられない。」
「それなら奪えば良い事、貴様の命も魂も私のものに堕とすまで。」

身体を解放されたかと思うと白い胡蝶蘭の花束を虎徹に投げつけた。

「って何だよこれ?!」
「私の気持ちだ鏑木虎徹受け取れ。」

投げ返そうかも考えたがばさりとマントを翻しルナティックは蒼い月に溶けるように消えていた。
「ルナティック!」

辺りを探したが誰一人おらず残された虎徹は胡蝶蘭の花束を見つめた。

「何なんだあいつは…。」

気持ちが悶々として結局アポロンメディアに戻ると偶然にもネイサンに出会った。

「あら綺麗なお花、胡蝶蘭ね。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ