ヤクザの孫でも純粋です。
第7章 #6
保健室を出て足早に教室に向かう。
今日こそ話してみようかな…?
曲がり角で曲がろうとしたときに
誰かとぶつかる。
「…ッや」
「ッ危な…」
よろける私の腕を咄嗟に掴んで、
ぶつかった相手の腕の中にすっぽりと
収まる。
「ごめ、なさい」
相手の腕の中から抜けようと離れるが
離れられない。
「君、網島 結女やろ?」
「え?」
見上げると黒い髪に眼鏡をかけた
切れ長の目。
「想像通り綺麗やけど
啼き声が可愛いそうやなぁ…
彼奴がハマる訳やわ」
眼鏡をかけた相手は私から少し離れ
顎をクイッと上げて私の顔をまじまじと
眺める。
「俺も君にハマってみたいわ
彼奴と思って啼いてくれや?」