腕の中で
第3章 3
気付いたら莉子が帰って4時間が経っていた。
しかし動悸が止まらない。
料理を始めた。
ずっと優しかった鉄平。
慰めてくれた時もあったっけ。
本当は浮気なんかしてないんじゃないか
少しまだ信じてないところがあった。
今日は鉄平が好きな料理。
ミートスパゲティ。
昔からずっと大好きだったよね。
「…ふ……ふぇ…」
今まで我慢していた涙が一気に溢れた。
「ただいま。」
鉄平だ。
急いで涙を拭いて
笑顔で出迎えた。
「おかえり!!」
「…どうした?」
ほらね。
やっぱり気付いちゃうんだね。
抱きしめられて余計に涙が溢れた。
「よしよし。」
子供扱いされた。
でも久しぶりの鉄平の腕の中は心地よくて、
このまま時が止まることを願った。