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トロイはそれを無視しようとした。しかし、何故か女子の力が強く、トロイは引っ張られて行った。
例の子、エルはクスクス笑いながら、トロイの方を見ていたが、しばらくすると視線を外し、近くにあった紙に何かを書き始めた。書き終わると、エルはそれをトロイのナップサックに入れ、トロイに手を振って帰ってしまった。
「ねぇ、トロイ！エレノア・メイセンなんかと話すなんて、変わった趣味ね。あら、もう帰っちゃったわね！暇なら私と喋りましょ？」
ストロベリーブロンドの女子に誘われ、トロイは渋々頷く。
「やった！私、トレイシーよ。トレイシー・エヴァン」
「あ……うん。宜しく、トレイシー」
トレイシーは満面の笑みで、手を差し出して来た。
握手を求めているのだ。トロイは差し出された手を握り、2回振った。
その時、トロイはシルバーブロンドの女子に肩を叩かれた。満面の笑みだ。
「あら、ちょっといいかしら？あなた、トロイ・ハドソンよね？私はシンシア・サルビアよ。あなたのこと、ずっと見てたの」
「……それはどうも」
トロイは冷たく言った。シンシアが傲慢に見えたからだ。淡いパープルのドレスを着たシンシアは、美しいと言えば、美しい。しかし、トレイシーやその他の女子を見下しているような雰囲気だ。
「シンシア。悪いけど、今は取り込み中なんだ。また、今度にしてくれ」