
初恋
第1章 Encounter
イヤホンを外しその子をみていると、
「ねぇー、どこの中学の子?」
「・・・」
「どこの中学ー?」
「○○○中学だけど。」
「そしたらこの学校から近いね!」
「うん。」
「私は○○中学!仲良くしようね!」
「うん。」
初めてだった。
私は目がキツイし愛想もないから、
声なんか掛けられるなんて思いもしなかった。
「ところで名前なんて言うの?
私は、雛森 苺(ヒナモリ イチゴ)」
「神矢 詩音(カミヤ シオン)」
「なら、詩音って呼ぶね!
私の事は、苺ってよんでね!」
「わかった。」
それからというもの、苺という女は
私の後をついてくるようになった。
移動教室とか、お昼を食べる時とか
隣に苺がいるのが当たり前になっていた。
苺はよく喋る女の子だ。
黙っている時間の方が少ない。
私は苺の話を聞きながら頷くだけだ。
別に苺が良く喋るのは悪い気はしない。
でも私はなんて言葉も返したらいいのか
どんな話をしたらいいのか分からないから
黙って頷くだけしかできない。
「でね!1-A組にすっごいかっこいい人がいるの!
入学してまだ一週間しかたってないのに、
ラブレター100枚くらい貰ってるらしいの!
すごくない?でもねぇーすっごく女たらし
なんだって。誰でも寝るらしいよ。
恐るべし、滝本 蓮司(タキモト レンジ)!」
そんな話をされても私には関係ない話。
それだけの人気者が私と関わるわけない。
そんな話を聞いていると、
「あ!次体育だよ!着替えにいこ!」
と苺が言った。
「私見学するから。」
「わかった!それじゃあ着替えにいくね!」
体育が出来ないわけじゃない。
着替えるのが嫌なだけ。
苺は余計な詮索はしない。それが楽。
