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とある隠れ変態の物語

第5章 素敵な休日の後の学園も素敵だった。

放課後、羽恋と途中まで帰ることになって相変わらずクラス中の視線をひとりじめ。

嫌な意味でね。


「あら、真田くん、ごきげんよう」


そんな時、にこやかに挨拶をしてくれたのはE組の柚子 美優さん。
はつらつとした美人で、この学園のカリスマ的存在である生徒会役員の一人。



「ふふ、ごきげんよう」

「貴方達が一緒にいるとやっぱり目立つわね。みんながウワサしてたわよ、目の保養ですわって」

「羽恋は可愛いからね、どうしても目立っちゃうんだよ」

「真田くんだってその舞亜くんに釣り合うイケメンだと思うけれど?」

「だといいんだけどね」

「もっと自信を持つべきよ。……あら、もうこんな時間。私は忙しいからこれで」



手を振って立ち去る柚子さんを見届けて、羽恋に帰ろうって目で伝える。
嬉しそうにほにゃほにゃ笑うところがまた可愛いよね。




帰り道、羽恋はいろんな話をしてくれた。
ミーハーなお母さんのこと、正反対の性格の双子の弟がいること。


「それでな、入学式に母さんがあの子イケメンねって真っ先に言ったのが尚輝だったんだ」

「それは光栄だな」

「その、オレも思ってたから、尚輝の事は一年の時から知ってたんだ」

「そうだったんだ……やー、何か照れるな」



尚輝は本当に、本当に人気だから、オレなんか三年間話す機会なんて無いだろうなって漠然と思ってたけど。

「でも、良かった。尚輝と話せて」


良かった。
ふわふわ笑顔の中には癒し以外にも何かが見え隠れしてるみたいで。
なんだか意味深だった。

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