とある隠れ変態の物語
第6章 エンジェル羽恋と初デート
土曜日、羽恋と初デートの日。
彼はやっぱりエンジェルだよ。
深緑のだぼっとしたサロペは羽恋の小柄さをより一層引き立てて、隣でショートケーキを頬張る横顔はまるでリスさん!
「んまんまー」
「それは良かった。イチゴのジャムパンがお気に入りみたいだったし、もしかして甘糖なんじゃないかなって思ってたんだけど」
「……!!よく分かったな」
「うん。羽恋のことは二年上がってから 結構見てたからね」
わ、よく考えたらオレってきもいかも。 いや、よく考えなくてもだけど。さながらストーカー。
「……こ、今度はオレが照れる番、だな」
「あはは、羽恋ちゃんかわいーね」
「ち、ちゃんって」
「ふふ、ほらまた付けて」
前はイチゴのジャムをほっぺに付けてたけど、今日はクリーム付けてる。
「焦らなくてもケーキは逃げないよ」
「……また、やっちゃった」
むくれた顔をしながらも楽しそうにくすくす笑う。 この笑顔を見ると某テレビ局のスタッフさんの言葉を思い出す。
『この子の笑顔はお金と幸福を生むわよ。一石二鳥ね』
うん、オレも思う。