とある隠れ変態の物語
第6章 エンジェル羽恋と初デート
あのイベの時、審査項目に女装ってのがあって。
その時の衣装が定番のメイド服だった。
でも今回は普段着の女装が見たいかなとか思っちゃった。
「じゃあ一つ、お願い」
「おう、何だ?」
「あの時みたいに、女装して? 」
羽恋のぽかんってしてる口に抹茶ケーキを放り込んで、当然の反応に苦笑いする。
当たり前だよね、ぽかんってしちゃうの。
「いや、ね。羽恋が可愛すぎたの思い出して。あの日は審査のために女装したけど、今日はオレだけの為に」
お願いしたいなって。
無茶言ってるの分かってるから、だんだん尻すぼみになっていく。
分かってるけど。
分かってるけど、どうせなら願望叶えちゃおうかなとかなんとか。
絶対に嫌だって言われるのは覚悟してた。
だから笑って頷いてくれた時には本当にびっくりして。
口のはしっこに付いた抹茶クリームを舌でぺろって舐めた羽恋は、
「オレで良ければ。なんのそれしき」
エンジェルスマイルを浮かべて、今度は自分の食べていた苺のショートケーキをオレにあーんしてくれた。
ほんと、ちゃっかりしてるよねこの子は。