とある隠れ変態の物語
第1章 子猫ちゃん拾いました。
「お願いがあります。迷子になったので、助けて欲しいんです」
「うん、分かったよ。とりあえず、中入って?」
「おじゃまします」
「はいどうぞ」
迷子か……。
って事は
♪迷子の迷子の子猫ちゃん、 は間違ってなかった訳か。
我ながら凄いな。
でも何で迷子?もしかして
「究極の方向オンチなんです。すみません」
やっぱり。
何て可愛いんだ、方向オンチ?
それならお兄さんが 何処へでも連れて行ってあげようではないか。
あれ? そういえばオレ侑里くんの事何も知らないや。何歳なんだろ……。
「ねぇ侑里くんてさ、何歳なの?」
「15歳……中三です。お兄ちゃんは?」
「オレ?オレは17歳――高二だよ」
「高二……ですか」
「そうそう。あ、そうだ。侑里くんち、電話しないとね?きっと皆心配してるよ」
「番号…………忘れちゃった」
「そっか、忘れちゃったか」
本当に可愛いんだなぁ、自宅の番号も忘れちゃうな んて。
……………………ん? て事は。
「えぇえええ!!」
この子、家帰れないじゃないか!!?!
どうするの?!
どうするの、もらっていいのっ?!
こんな状況でもそんな思考回路になってしまう自分が恨めしいが、どうしてもそう考えてしまうのだから仕方無い。
にしても…… どうすんの、この状況。