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帰り道の映画館

第1章 1

と一気にまくし立て電話を強制的に切った。恋人であろう彼女は今頃ポカーンとした顔でケータイの画面を見ているだろう。そして必死に自分がさっきまで電話していた相手の履歴を見返すだろう。何回も。
そう、考えると愉快な気持ちになった。
私はまだ気づいていない、一番驚いているのは彼女ではなく、私の前に座る、私からケータイを奪われた彼だ。
おそるおそる、彼の顔を確認する。
「あの、なんか。すみません」
そのあとの私は偉かったと思う。全力で頭を下げた。
彼は一分くらい放心状態だった。
「いや、いや。うん。大丈夫、ありがとう。」と自分を納得させるように言うと、うんうんと頷いた。



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