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君がいるから

第5章 新たな悩み

閉まったドアの向こうの足音が小さくなっていく

玄関で突っ立ったまま
今起きたことを思い出してみる

どうしよう…

鼓動がどんどん早くなり
その夜は
眠ることができなかった


流し台に置かれたマグカップを見て
昨夜のことが夢じゃないことを
思い知らされる…

大好きなのに
声に出せない…

出社後は
小さなミスばかり続き
先輩たちに迷惑かけっぱなしで
凹んでしまった…

「大丈夫?疲れてんじゃない?」

そう言って紙コップのコーヒーをデスクに
置いてくれたのは
1年先輩だけど同い年の藤崎さんだった

「ありがとう…」
「目の下にクマさんできてるけど!?」
「あはは…寝れなかったから」
「お?イイコトあったとか?あ、セクハラになるかな」
「ふふふ…藤さんに言われたってセクハラにもなんないって(笑)」

背の高い藤崎さんはみんなから藤さんと
呼ばれていた
同い年だからね、と先輩ではあるけど
私に敬語を使わせないでいた
仲間内では「格好いい」とか「彼女いるのかな」とか話していたけど
あまり興味はなかった…
 

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