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気泡

第1章 *…ココロン…*

…ビクッ。

急いで起き上がり
ひろ君のいるベッドに
静かに潜り込んだ。




ひろ君とは3年続いている。
あたしの彼氏…
彼氏ってなんだっけ…?
まぁ何でもいいや。

1年前から同棲している。
それ以来あたしは
この家の外に出してもらえない。
最初の頃は反抗してたけれど
女が男にかなうわけない。
言うこと聞いてたらそれで
いいんだと思う。


「あい。今何時??」

「…6時半です。」

「起こせよ。風呂。」


いつも朝は機嫌が悪い。



一緒にお風呂場へ向かった。

ひろ君の頭。体を洗う。
歯磨き。着替え…
ひげ剃り以外が
全部あたしの仕事。


一段落して
ひろ君が煙草に火をつけて
あたしをジッと見つめた。


「おまえさぁそれ。何?」

「…えっ?」

体がびくついた…

昨日の煙草を押し付けた跡だ…
血の気が引いてくのが分かった…


「おまえ
 そぅいう事したいならさ
 俺に言え。
 おまえ傷つけていいの
 俺だけだろ?」

そう言って
昨日の跡の上に
煙草を押しつけようと
していた…

「…ご、ごめんなさい」

だんだん熱が伝わってくる…
怖くなって手を払おうとしたが
出来ない…
余計に強く握るひろ君の手に…
次は骨が折れるんじゃないかと思い
諦め力を緩めた…

«もぅあなたの
好きにしてください…»

ひろ君はあたしの手の甲の
同じ所に何度も煙草を
軽くあてた

そして最後に
グリグリ押し付けて
火を消した。


昨日は熱さを感じなかったのに
今日のは熱くて
唇をぎゅっと噛み締めた。



「おい。言うことは?」

「ありがとうございまし…た」


「良くできました。
 じゃあ俺行くな。」



ガチャ。
扉の閉まる音がした。

ひろ君が出て行ったんだ。


全身の力がぬけた…


「行ってらっしゃい…ひろ君」






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