VS
第3章 第2
「なにがおこってるの…?」
隣で夏々が少し動揺気味に言った
『分からない。でも、これってドッキリとかじゃ…』
「それはないとおもう」
私の言葉は浜田翔によって遮られた
浜田翔はバスケ部に所属しており、女子に何かとキャーキャー騒がれるような、いわゆるイケメンだ。
「なんでわかるの?」
夏々が不思議そうにそう聞いた
「拓也が忘れ物したとかで一回家に帰ろうとしたんだ。」
「忘れ物…?」
夏々がそう呟く
「ああ。他のクラスのやつに聞いたんだけど、
なんか、正門にいた黒い服の男ともめて、急に静かになってまた校舎に入っていったらしいんだ」
『黒い服の男…』
確かにいた。
私が校内に入るときに見た男だとすぐに分かった。
「それから、坂元くんは…」
「帰ってきてない」
(帰ってきてない…?)
私は、これはもしかしたら本当なんじゃないか、と嫌な予感がした