
Game=?
第2章 土曜日
「S…てめえ…!!」
相手はかなりの瞬発力を駆使していたことが分かった今、基樹も無闇に
手が出せなくなってしまっていた。
ただただ、負け犬のように、校長――“奴”――Sを、
睨み付けていることしか出来なかった。
「フフッ…そう…その目ですよ。
私が相手にした何十人もの方々も…そんな目をしていましたよ…」
Sは余裕の表情で基樹に言い放った。
基樹は益々怒りが立ち込めて来て、ポケットに手を突っ込んだ。
―――ポケットの中には、サバイバルナイフが基樹に握られ、
そして微かに
……震えていた。
「…まぁ、今はその時ではありませんから。また機会がありましたら…」
「…殺し合いましょう…。」
そう基樹に言い残すと、Sは一瞬でどこかへ消えてしまった。
「!!…っおい!!」
基樹がSのいた場所へ問いかけたが…
それっきり、Sの姿や声は聞こえなくなった。
